FAQ
機械彫刻用標準書体フォントについて、問合せを頂いたり、ウェブ上に書かれたりした疑問点を説明します。
- フォントが正式版となる見込みや有償化について。
- サラリーマン個人が余暇の中で制作しているため、正式版になるまでには年単位の期間を要することを御理解ください。
- 正式版公開後を含め、有償化の予定はありません。
- 使用頻度の高い漢字を優先して追加しないのか。
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原則として JIS 規格票の後ろから順に漢字を追加していっています。規格票の並びは2010年改正前の常用漢字表と同じ(音読みの五十音順)なので、その逆順です。
これは、使用頻度の高いか行、さ行、た行の漢字を意図的に後回しにしているためです。JIS 規格票で示されている字形は手描きのため、文字ごとにバランスが異なったり、同じ要素を持つ漢字でも曲線の向きや量に揺れがあったりします。
字形をトレースする際、それらの揺れをなるべく修正し、フォントとして統一が取れるようにしていっています(もちろん、本書体の「味」を損なわない程度にしています。)。しかし、まだまだ不統一なところがあり、収録済みの文字についても今後のアップデートで修正する必要があります。そのため、使用頻度の高い漢字は、より統一の進んだ段階で追加したいと考えています。
- 誰が機械彫刻用標準書体を設計したのか。
- 機械彫刻標準書体専門委員会(JIS Z 8903 改正時においては原案作成委員会)によって設計されましたが、星野清委員(星野印版工業株式会社)が書体設計の中心であり、原案を作成したようです。
- JIS Z 8903 初版(当用漢字)については書体デザイナーの佐藤敬之輔氏の指導の下、佐藤デザイン研究所(現佐藤タイポグラフィ研究所)の池田誠氏が原図を描画したようです。また、JIS Z 8906(ひらがな)については、後に株式会社シーアンドジイを創業する坂本達氏(当時は日立製作所デザイン研究所所属)が設計し、星野清氏が原図を描画したようです。
- 機械彫刻用標準書体制作の経緯については、トップページで参考書籍として紹介している「もじ部 書体デザイナーに聞くデザインの背景・フォント選びと使い方のコツ」(雪 朱里・グラフィック社編集部)に詳しいレポートが掲載されています。
- CAD で使用する書体と同じものか。
- 機械彫刻用標準書体は機械彫刻特有の書体であり、CAD には使用されていません。
- 等線体(全ての字画が一定の線幅からなる書体。)である点は同じです。また、そのことによる制約から、込み入った字では機械彫刻と CAD とで字形が類似すると考えられます。
- 機械彫刻では曲線に制約がありませんが、CAD では曲線を使用せずに折れ線で近似する例が多いようです。機械彫刻用標準書体では字画の角を丸めますが、CAD ではデータ量が多大となるため、そのような処理はあり得ません。
- このフォントを使用して、手軽に彫刻風のプレートを作れないか。
- 次の市販の材料から、透明アクリル板の裏面に彫刻したようなプレートを作ることができます。
- 透明アクリル板
- 白(又は好みの地色)の印刷用フィルムラベル
- 透明な両面粘着シート(参考品:株式会社クイックアートのラミネートシール(クリア)に含まれる両面粘着シート(オンラインショップでは両面粘着シートのみでも購入可能。))
フィルムラベルに文字などを印刷し、両面粘着シートによって印刷面とアクリル板とを貼り合わせます。
- 次の市販の材料から、透明アクリル板の裏面に彫刻したようなプレートを作ることができます。
- フォント制作の経緯について。
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制作者は電気設備の運営、保守を本業としています。仕事の中で様々な機器の銘板を目にし、その彫刻文字に魅力を感じていました。
古い銘板には JIS Z 8903 規定の簡易字体のような略字を用いたものがあり、そういった略字について調べていたところ、機械彫刻用標準書体という規格が存在することを知りました。
この書体を知ったことで、それをデジタルフォントとして使いたいという思いが生まれました。さらに、ちょうどその頃 Glyphs というすばらしいフォント制作ソフトがリリースされたこともあって、フォント制作を始めました。
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