漢字の異体字一覧

機械彫刻用標準書体の規格 JIS Z 8903 においては、一部の漢字に簡易字体が採用され、通用字体とともに収録されています※1。本フォントでは、OpenType フォントの異体字切り替え機能を実装することで、これを再現しました。

また、作者の興味により、機械彫刻特有の簡易字体とは関係のない異体字も、実験的にごく一部収録しています。

フォント全体が現在ベータ版であり、本ページに記載した機能も将来のアップデートの際に変更する場合があります。スタイルセット01(ss01 タグ)は JIS Z 8903 再現の一環なので変更する可能性は低いですが、それ以外は実験的なものだと御理解ください。

JIS Z 8903 収録の簡易字体及びその関連

JIS Z 8903 収録の簡易字体には OpenType 機能のスタイルセット01(ss01 タグ)を割り当てています。一部の漢字には別の簡易字体を独自に追加し、それらはスタイルセット02、03(ss02、ss03)としました。

いくつかの漢字には、簡易字体とは逆に、一般の印刷文字に近付けた形※2を独自に追加し、それらはスタイルセット05(ss05)としました。

これらのうち、Unicode の IVD(異体字データベース)各コレクションにおける字体区別に相当するものは、IVS(異体字セレクタ)による指定も可能です。

下表において、各行内の同色のセルは同じ字体です。固有の Unicode 符号位置があるものにはそれを併記しました。

基底OpenTypeUnicode IVS備考
ss01ss02ss03ss05E0100E0101E0102E0103
監
76E3
监
76D1
器
5668
器
機
6A5F
機 機 機
緊
7DCA
紧
7D27
駆
99C6
駆 ss01
繰
7E70
繰 ss01
劇
5287
劇 ss02 JIS Z 8903 に採用しなかった簡易字体として、同規格の解説に記載あり。
堅
5805
坚
575A
賢
8CE2
䝨
4768
験
9A13
験 ss01
孤
5B64
孤 孤 孤 孤
弧
5F27
弧 弧 弧 弧
酵
9175
酵
酷
9177
酷
酢
9162
酢
酸
9178
酸
事
4E8B
亊
4E8A
磁
78C1
碰
78B0
ss02 は工業分野で使われることがある略字。
質
8CEA
貭
8CAD
射
5C04
射 射 射
酌
914C
酌
主
4E3B
主 主 主 主 主
酒
9152
酒 酒 酒
需
9700
需
儒
5112
儒
酬
916C
酬
醜
919C
醜
襲
8972
襲 襲 ss01 は JIS Z 8903 初版(1969)の形。ss02 は改正版(1984)の形。
住
4F4F
住 住 住 住 住
遵
9075
遵
醸
91B8
醸
嘱
5631
嘱
職
8077
耺
803A
震
9707
震
酔
9154
酔
雪
96EA
雪
選
9078
選
操
64CD
操
燥
71E5
燥
霜
971C
霜
騒
9A12
騒
藻
85FB
藻
属
5C5E
𭕛
2D55B
尊
5C0A
尊
駄
99C4
駄
第
7B2C
㐧
3427
第 ss05 が JIS Z 8903 本来の形。基底グリフは「弔」「弟」の形に合わせて独自に作成。※3
駐
99D0
駐
電
96FB
電 電 電
曇
66C7
曇
配
914D
配

その他の異体字

以下は、機械彫刻特有の簡易字体とは関係のない字体差などを、Unicode ベースで実装したものです。これらは作者の興味により実験的に収録したものであり、網羅的ではありません。

基底グリフ以外を表示するには、文字コードレベルの実装である IVS/SVS(異体字セレクタ)や、フォントレベルの実装である OpenType 機能による指定が必要です。それらの使用方法については各自で確認してください。

下表において、各行内の同色のセルは同じ字体です。下表に記載した OpenType 機能のタグ以外にも、全ての異体字に aalt タグを設定してあります。

基底IVSSVSその他備考
E0100E0101E0102E0103E0104E0105FE00
戸
6238
戸 戶
6236
工
5DE5
工 工
*
* = 5DE5[salt]
今
5DE5
今 𫝆
2B746
齋
9F4B
齋 齋 齋 齋 斎
658E
9F4B = 658E[trad]
﨑
FA11
﨑 﨑 﨑 﨑
柵
67F5
柵 栅
6805
6805 = 67F5[jp78] = 67F5[expt]
次
6B21
次 次 次 次
碰
78B0
碰 碰 碰
璽
74BD
璽 璽
叱
53F1
叱 叱
2B738
叱 叱
2B738
𠮟
20B9F
2B738 = 53F1[jp78]
20B9F = 53F1[nlck]
社
793E
社 社 社 社 社
FA4C
FA4C = 793E[trad]
者
8005
者 者 者 者 者
FA5B
FA5B = 8005[trad]
邪
90AA
邪 邪
*
邪 邪 邪 邪
*
* = 90AA[jp78] = 90AA[jp83]
弱
5F31
弱 弱 弱 弱
渉
6E09
渉 涉
6D89
6D89 = 6E09[trad]
所
6240
所 所 所 所 所 所 所 所
*
所
3ABD
所 所
20A44
所 所 所
2B742
所
2B826
所 所 所
2CED0
* = 6240[salt]
食
98DF
食 食 食 食
神
795E
神 神 神 神 神
FA19
FA19 = 795E[trad]
齊
9F4A
齊 齊 齊 齊 斉
6589
9F4A = 6589[trad]
捗
6357
捗 捗
*
捗 捗
*
* = 6357[jp78] = 6357[jp04] = 6357[nlck] = 6357[expt]
沪
6CAA
沪 沪

注釈

※1 正確には次のとおり:JIS Z 8903 初版(1969)では、一部の漢字が簡易字体化され、当該字種については通用字体の選択肢はありませんでした。改正版(1984)にて通用字体を新たに収録し、そちらを基本としつつ、簡易字体も使用条件付きで引き続き収録されました。

※2 市中に存在する機械彫刻文字において、機械彫刻用標準書体をベースにしながらディテールを印刷文字に近付けたものが散見されます。それらは彫刻業者が独自に改造したものと推測しています。

※3 「弔」「弟」が JIS Z 8903 初版(1969)以来の字形なのに対し、略字でない「第」は改正版(1984)で新たに書かれて追加されたため、字形の不統一が生じたと思われます。これに限らず、JIS 改正時に新たに書かれた字は、初版とは書体のテイストが異なります。本フォントでは、初版の形をベースに字形の調整・改良を行っています。